SDGs(持続可能な開発目標)に関する書籍を2冊紹介します。

『SDGs先進都市フライブルク:市民主体の持続可能なまちづくり』
中口毅博(著)、熊崎実佳(著)。学芸出版社。2019年8月18日。
中口毅博芝浦工業大学環境システム学科地域創生研究室教授、NPO法人環境自治体会議環境政策研究所所長
内容:
環境先進都市として有名なドイツのフライブルク市は、日本でも環境やまちづくり分野について紹介されてきた。しかし、同市では技術革新、働きがい、人権、福祉、教育、平和に関する活動など、SDGsの17の目標すべてに関わる市民活動が活発に行われており、また行政、企業も役割を果たしている。相互にゆるやかに関係し合い地域全体として「持続可能な発展目標」の実現に向けて進んでいる。
本書では自治体のSDGs推進体制と市民・企業・公社の活動を紹介していくなかで、とりわけ個々の活動を越えたパートナーシップのありかたを探る。そして地域全体でSDGsを実現するために、自治体や市民、企業が考えるべきことは何かを示す。
目次:
序章 フライブルク市はなぜ「SDGs先進都市」と言えるのか
第1章 貧困をなくそう
貧困層へのケアと省エネ改修を同時に実現─ヴァインガルテン地区
第2章飢餓をゼロに
市民の共同出資による有機農業―ガルテンコープ・フライブルク
第3章すべての人に健康と福祉を
自然保育で身につく主体性―ホイヴェーク森のようちえん
第4章質の高い教育をみんなに
生徒の主体性を高めるエコワットプロジェクト─シュタウディンガー総合学校
など
第5章ジェンダー平等を実現しよう
カフェや書店でジェンダー平等活動─女性に対する暴力反対キャンペーン
第6章安全な水とトイレを世界中に
水の問題に市民の立場からアプローチ─レギオヴァッサー
第7章エネルギーをみんなにそしてクリーンに
市民出資で太陽光や風力発電所を建設─エコシュトロームなど
第8章働きがいも経済成長も
企業との連携で行う職業教育─リヒャルト・フェーレンバッハ職業学校など
第9章産業と技術革新の基盤をつくろう
最先端の太陽エネルギーシステムを開発─フラウンホーファー研究機構・IS
第10章人や国の不平等をなくそう
グローバルな貿易による不平等の解消を目指す─ヴェルトラーデン・ゲルバー
アウ
第11章住み続けられるまちづくりを
車の少ないまちづくりの中核を担う─フライブルク市交通公社(VAG)など
第12章つくる責任つかう責任
リサイクル率60%超えを実現─フライブルク市廃棄物管理・清掃公社(ASF)
第13章気候変動に具体的な対策を
歴史的建造物を保存しながら省エネに挑戦─ヴィーレ地区
第14章海の豊かさを守ろう
魚類保全のため、菜食の寿司を提供する─魚のない寿司
第15章陸の豊かさも守ろう
森の大切さや経済的価値を学ぶ拠点施設―ヴァルトハウス
第16章平和と公正をすべての人に
ローカルな戦略でグローバルな武器貿易に反対─兵器情報センター・リプ
第17章パートナーシップで目標を達成しよう
エコステーションと連携し生徒主体の環境活動を実践─ヴェンツィンガー実科
学校など
終章「SDGs先進都市」を目指して
「SDGs先進都市」の成立要因、日本における持続可能な地域づくりの課題、「SDGs
先進都市」に向けての日本流の取り組みのアイデア

『自治体環境白書2018-2019年版 SDGsの推進による地域課題の同時解決-水問題を中心に』
中口毅博(著)、小沢はる奈(著)、環境自治体会議環境政策研究所(編集)。
中口毅博芝浦工業大学環境システム学科地域創生研究室教授、NPO法人環境自治体会議環境政策研究所所長
生活社。2019年5月10日。
内容紹介:
全国市町村別プラスチックごみ推計値を一挙掲載!
日本では今、官民挙げて国連が掲げたSDGs(持続可能な発展のための目標)の達成に取り組んでいるが、まさにそのSDGsの6番目の目標が「水と衛生」である。世界的に見てもアフリカ・アジアなど途上国の水質改善や飲料水の衛生状態改善が進んでいるが、これには日本企業の浄化処理技術も貢献している。SDGsを旗印として水環境改善と他の地域課題の同時解決を目指すことが、結果として世界の持続可能な発展につながる。本書はそのヒントとなる秀逸な事例をいくつも掲載している。(中略)
日本の自治体が本書をヒントに、SDGs達成に取り組むことで、“知らず知らず”のうちに世界の持続可能な発展の“細く長い道”を歩んでいき、振り返れば“故郷”の繁栄が見えている社会が訪れることを強く望みたい。(本書「はじめに」より)